医者と会長に生かされた話しをする3

150 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 03:37:59.55 ID:IfvPzF4o0
心なしかいい香りがする。この香りは知っている。クロエ?とかそういう名前の香水だ。多分。
「お邪魔します」
深々とお辞儀をし、靴を揃えて入る。
偉いなぁ、と思わず感心する。
化粧の厚さはコンプレックスの厚さだと聞いたことがある。
顔立ちは整っている感じなのに勿体ないな、と感じた。なんなら素っぴんでも可愛いだろう。
まじまじと眺めていると、真っ直ぐこちらを見据えて彼女は言った。
「私、A君の元カノです」

151 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 03:42:35.14 ID:IfvPzF4o0
「A君はあなたのような可愛らしくて礼儀正しい子と付き合っていたんですね!」
本当の姉のような心境だった。
「A君全くそんな話ししないから心配だったんですよ、座ってお茶でも飲みましょう。あ、お名前お伺いしていませんでしたね。私は>>1と申します」
喋りすぎたようだ、彼女はぽかんとしていた。

152 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 03:45:00.59 ID:Jziw4MBI0
多分約束してないなww

153 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 03:52:25.92 ID:IfvPzF4o0
「私は…カナです」
「カナちゃん。今日はA君とどんな約束をしていたんですか?」
カナちゃんは出したばかりの紅茶に砂糖を入れながら答えた。
「約束っていうのは嘘です」
「家庭教師さんに会いに来たんです。さぁくんに内緒で。」
「さぁくん?」
A君のことであるだろうが、苗字も名前にも「さ」は付かない。
「周りの女子と被らない呼び方を適当に考えただけです。さぁくんモテるから」
「そういえばA君(いや、さぁくんか)とカナちゃんは違う学校だよね」
「電車で見掛けて好きになったんです」
カナちゃんは恥じらって頬を赤らめる。乙女だな、とにやける。

154 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 03:57:47.85 ID:IfvPzF4o0
ご名答です(`・ω・´)
「それで…私に用事とは」
「その前に訊きたいんですが」
カナちゃんが紅茶を混ぜる。ミルクが綺麗に溶けていく。ケアしてある手先が美しくて、吸い込まれるようにただ見つめる。
「さぁくんに惚れてないですよね?」
思いもよらない質問だった。
考えたこともなくて、言葉に詰まった。
一瞬の沈黙の中でカナちゃんの瞳は強気で、不安げだ。

155 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 04:05:18.26 ID:IfvPzF4o0
A君は本当に弟のような存在だ。
それに嘘はない。何に誓ってもいい。
「考えたことなくて吃驚した…」
素直にそう答えた。
カナちゃんは本当に?と言いたげな目で、「それなら相談に乗ってくれませんか?」と続けた。
「よりを戻したいんです、さぁくんの好みとか知りません?」
そうきたか、と呆気にとられる。
「好み?女の子の?」
「モノでも女の子でも…簡単に言えばもっとさぁくんの理想に近付きたいんです。あとプレゼント攻撃もしたい」
恋愛のれ、の字もかじれてない私の小さな思考容量がフル活動しだした。

156 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 04:19:11.54 ID:9BN0z+s40
小説を読んでるみたい
読み易くて面白い

157 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 04:34:08.64 ID:BTN6XAav0
独特のテンポが心地よい。

158 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 05:06:30.38 ID:UbpEfToo0
粛々とした、不思議な雰囲気だなぁ
魅力のある性格と文章だね。

160 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 08:34:01.99 ID:vJsjlraN0
勿体ないお言葉!ありがとうございます(;_;)眠りに就く度、起きてもこのスレが残っているか少し心配でした。
よりを戻す。言葉にするように簡単なことではない。
というか、よく考えたらそんな経験がなくて解らない。
「A君にはもう告白したの?」
「してないです、出来る雰囲気じゃないし」
「隣の高校だからよく色んなところで会えるけど、さぁくん勉強ばっかり」
そう言って、長い髪の毛の毛先をくるん、と遊ばせる。
どこかで、「女性が毛先をいじりだしたら貴方に気がない証拠だ」と読んだ。そうだ、男性用雑誌だ。
確かにこの仕草は拗ねているように見えなくもない。
「さぁくん、どこの大学目指しているんですか?私も頑張ろうかな」

162 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 09:00:42.46 ID:xyrkdJJNO
あなたの文章を読みたい人が保守するから安心して寝て下さい。

163 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 09:26:14.79 ID:vJsjlraN0
ありがとうございます(*´・ω・`*)
ヌクモリティに感謝しつつ、続けます。
いい兆候じゃないか、と微笑ましくなる。
「国立大って言ってたよ」
「え…猛勉強どころじゃないじゃん…」
カナちゃんの顔色がみるみる暗くなっていく。
「成績悪いの?」
勉強時間や方法まで詳しく尋ねたくなるのは、家庭教師の性だろうか。
「成績は悪くないけど国立はどうだろ…」
「一緒に勉強しない?とか効かないのかな、ベタだけどお菓子とか作って差し入れるとか…あまりしつこくならないように適度に」
「それいいかもー!ナイスー!適度にね、覚えとこ」
A君のこと、本当に好きなんだな。
どうかこの可愛い子の恋が上手くいきますように。
嬉々としてプランを練るカナちゃんを横目にそう願った。
時刻は17時を回っていた。

165 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 09:49:10.06 ID:vJsjlraN0
確か、A君は19時に帰ると連絡があった。
「カナちゃんご飯食べていかない?簡単なもので良ければ作るよ」
大したおもてなしも出来ないのはお手伝い、…いや、姉として何だか不十分だ。
「ママに怒られちゃうからお気持ちだけで」
間髪入れずに断られる。
そりゃそうだ、流石に慮りに欠けたな 、と一瞬でばつが悪くなる。
「でも」
カナちゃんが毛先をくるくるしながら言う。
「楽しかった。今度はちゃんとさぁくんに許可を取ってきます」
「是非!」…彼女として来てくれたらな、と静かに期待した。

166 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 09:49:30.17 ID:4jiQVtvT0
なんかこう、日本人独特の、悲しさとも幸せとも言えない微妙な味わいがある出来事と人物だな
おれも貧乏人だしなあ、頑張りたいなあ。

167 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 10:02:00.37 ID:4A3pDz0ni
今年初の良スレだな。

164 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 09:45:10.85 ID:9EP9zgefO
他人の家の留守を預かってるんだから
家の人と連絡もとれないなら、いくら約束したと言っても
家に上げるべきではないような・・・。
改めて来てもらうとか、そもそも来客には対応しないとかするべきだったのでは?
でも読んでる限りでは、人を疑う事を知らなかったんだろうね。

168 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 10:05:32.84 ID:6UK3llfl0
その通りです、猛省しています。
下記にもあるようにこれがもし危険な人だったらと後悔しました。
思慮というのは付け焼き刃では到底出来ませんね
帰宅したA君に数時間前の出来事を話した。
秘密で、とカナちゃんは言ったけど、…そうもいかない。
カナちゃんにも後ろめたくて、ジレンマを感じていた。
黙って聞いていたA君は少し笑って
「知っていますよ」
と言った。
「なんだ、秘密のつもりだったのか。昨日夕方会ったときに言われましたよ、家庭教師さん見に行ってやるって。どうせカナのことだから実行するだろうとは思っていたけど」
「勝手にあげてごめんなさい」
「押し掛けたのはカナだから謝らなくていいよ。ここは自分の家同然ですよ?母さんが生きてたら多分、そうしてたよ」
母さん、と聞いて動揺する。
亡くなったと聞いてから一度も触れてこなかった話題だ。

169 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 10:36:57.80 ID:6UK3llfl0
A君はいつも気丈で、人が自分に気を遣うことを特に嫌う。
先述のような失態を起こしても、「自分の家同然でしょう」と然り気無くフォローをする。
私が1つの出来事をひきずる性格だと知っていて、そうして場の雰囲気を悪くしないように気遣ってくれるのだ。
「あ、でもどれだけサンタクロースみたいな人でもそれは開けちゃ駄目だからね」
「どういう意味でしょうか…」
そんな冗談も交えてきちんと諫めてもくれる。
私にはその懐の大きさは真似出来ない。
どっちが年上なんだ、しっかりしよう。洗い物をしながら考え込んだ。
―母さん。
こんな良い子に育っているA君を産んだ人。
どれだけ素敵な方だったのだろう。
お会いしてみたかった。

174 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 11:20:38.94 ID:6UK3llfl0
一喜一憂しつつも、どんな意見でも受け止めますよ(`・ω・´)
感謝です。
街は様々な色の煌めきで溢れていた。
お店のポップは「恋人や家族」というワードが強調されて、BGMはマライア・キャリーやワムが延々と流れる。
世間はクリスマスイブ。
贅沢は出来ないけど、病気を患っていても食べられるレシピを探してクリスマスらしい料理にした。
掃除をしても時間が余ったので、まとめていた荷物を確認した。
「ただいま」
A君が嬉しそうな声を響かせる。
「本当に綺麗だ、ありがとうございます」
久しく聞けなかったこの家の主の声。
おじさまが退院した。

177 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 11:29:20.22 ID:V3VXR68R0
この手のスレって多いけど、そんなに細かく会話等覚えてるもんかな?
多少は脚色あるとしてもさ。
何か目的ぐあって作られてる様な気がする
のは俺だけ?
中には事実ぽいのもあるけど。
ま、結果としては読んでおもしろきゃいいんだけど。

184 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 11:56:24.62 ID:6UK3llfl0
私は細かく日記をつけていたので(非公開のブログですが)、それを読み返しつつ会話を補完し書いていますよ。
案外覚えていないものですよね。
あからさまに印象を操作しかねない脚色は控えています。
また、特定されかねない情報は少し変えています。
おっさんか…おっさんと思ってくれていいです!
食事も終え、久しぶりに三人での団欒を迎えた。
実家はクリスマスを決して祝わないので新鮮だった。(と言いつつ一番下の妹にはプレゼントを発送した)
「Aの成績がとても伸びたそうですね。ひとえに先生のお陰でしょう。ご迷惑はお掛けしませんでしたか?」
テーブルの向こうでおじさまがペリエを注ぐ。お
じさまは炭酸水が好きだとA君がよく話していた。僕には分からない、とも。
「とんでもないです!寧ろ私がご迷惑をお掛けしました」
「先生のお陰で私も安心して家を開けられましたよ」

185 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 11:59:27.88 ID:hB4g8Ms60
>>184
ワムとか倖田來未とかおっさんが知ってそうな芸能人しか出て来ないw
でもテレビ見ない人もいるしわからない。

186 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 12:11:51.61 ID:6UK3llfl0
バイトと勉強ばかりでテレビに親しみなかったんです…(;;)
見てもお笑いとか映画だったし…
好きな歌手は浜田省吾さんだしおっさんと思われても何も言い返せないです……
あ、阿部真央ちゃんが大好きです
「そんなことは…」
言いかけた途端、
「先生!」
後ろからA君が顔を出す。
「これ、僕と父からの感謝の気持ちです」
と、シックな小袋を差し出された。
振り返るとおじさまが微笑んでいる。
「!?」
言葉が出なかった。

188 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 12:20:07.48 ID:6UK3llfl0
「先生がご厚意でここまでしてくれたように、これも見返りを求めないただの感謝の表れです」
「でも私何も用意していないのに受け取るのは」
私の心を読んだようにA君は続ける。
「忙しい中、料理に洗濯に掃除、どこが何もしていないんですか!僕達がしたくてこうしているんです。遠慮しないで下さい」
「本当にいいんですか?」
「しつこい女の人はモテないですよ」
A君は相変わらずフォローがうまい。
お礼を言って受け取った袋からは少し重みを感じた。

189 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 12:31:40.04 ID:WbuBeIEMO
見てます。頑張って

192 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 12:46:36.15 ID:6UK3llfl0
ありがとうございます!
「気に入るか分かんないんですけど」とA君がはにかむ。
ルイヴィトンと読める箱に、長財布が横たわっていた。
ワインレッドいうか、パープルというか。
照明の当たり方で微妙に見え方が変化する。初めて出会った色だった。
アマラントというらしい。
艶々した生地は手触りがとても快感だ。
「…こんな素敵なものを戴いていいんですか?」
「使ってくれますか?」
A君が心配そうにこちらを窺う。
「当たり前です!家宝にします!」
おじさまがにっこり笑った。
お手伝いのバイト代なんて受け取ってくれないでしょうから、と二人で相談して財布にしたらしい。
私の世界に色がまた1つ増えた。

193 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 12:48:43.19 ID:nw+uJvQcO
なんて素敵な話なんだ
これも1が真面目で誠実だからだろうな

195 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 12:59:58.14 ID:6UK3llfl0
財布を開けた右上に、私の名前のイニシアルが入っていた。
それを確認して改めて家宝にしよう、と本気で思った。
後にも先にも…先のことは分からないけど、今のところは、ブランド品と呼ばれるものはこれしか持っていない。
他には要らないし、買うこともねだることも絶対にない。
今は背伸びしているけどこの財布の色に見合った女性になろう。
いつか二人と、そして会長さんと会えなくなってしまっても
私が傲慢になって怠惰にならないように、この気持ちを忘れないように、この財布は肌身離さず持ち歩こう。
じんわり暖かい気持ちを涙に変えないように、堪えるのは大変だった。

196 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 13:02:25.10 ID:PLx92lSx0
俺が泣く
今泣く

198 : 忍法帖【Lv=20,xxxPT】 :2012/01/16(月) 13:16:57.78 ID:7FaIQqg80
汗から目が…

202 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 13:47:23.42 ID:NK/72lrk0
>>198
逆やw

199 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 13:19:29.26 ID:6UK3llfl0
レス嬉しいです、ありがとうございます!
めでたいクリスマスイブを最後に、私と素晴らしい高校生との共同生活は終わった。
まだいていいのに、と二人には引き留められたけれど、親しき仲にも礼儀あり。
これ以上二人の時間を邪魔できない。
翌朝、朝食を一緒に摂って、彼らにお礼を言った。
どれだけお礼を言っても言い足りないくらいだ、と言うと「先生、家族に何をそう気を遣っているの、小さい頃はサンタクロースが来るもんだよ」とA君に頬をつつかれた。
「私もう成人しているんだけどなぁ」
「…トナカイからのプレゼント忘れていません?」
A君が例のネームプレートを手渡してくれた。

200 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 13:27:57.40 ID:6UK3llfl0
「これはどうしたの」
おじさまがにこやかに訊ねる。
「A君が作って下さったんですよ」
「ほう、幼稚園の頃から手先は器用だと思っていたけれど…これはすごい完成度じゃないか?」
おじさまが目を丸くしてプレートを眺める。
「ただ勉強の気分転換に既製品をボンドで繋ぎ合わせただけだよ、父さんならうさぎごと作っちゃうだろうけど…」
A君が恥ずかしそうに説明する。

201 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 13:42:45.30 ID:6UK3llfl0
身近なトナカイからのプレゼントも鞄にしまって帰路へ就いた。
電車のなかでデジャブだ、と考えた。
アロマの時も、今も。
戴いたのは 物だけじゃない。
デートであろう、寄り添う周りのカップルを見渡して財布に視線を落とす。
こんなに温かくて不思議な気持ちになったことは今までたったの一度もない。
大切にされている実感というのだろうか。
血の繋がらない「他人」を「家族同然」だなんて。
この見えない信頼関係を絶対に壊したくない。
あの親子と会長には自分なりに一所懸命に尽くしていこう。
武士ってこんな忠誠心だったのかも、いや比べ物にならないか、とのんきに考えていたら、乗り過ごしてしまった。

204 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 14:03:40.55 ID:6UK3llfl0
久しぶりに実家に帰る。
ドアを開ける。玄関には知らない靴が2、3足並んでいた。
何故だか分からないけど身震いがした。
理由はないけど、ここにいてはいけないと本能が察知している。
「帰ったの?」
母が顔を出す。
「どうしたのその格好…」
なにやら正装だ。

205 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 14:11:54.07 ID:6UK3llfl0
居間の戸をひくと、知らないお婆さんとお爺さん、それに母よりは若そうな男性が背筋を伸ばして正座していた。
それに、母方のおばあちゃんまでいる。
一斉にこちらを見るものだから、少々怖じ気つく。
雰囲気がものものしい。
「初めまして…」
挨拶もそこそこに、突然スーツ姿の男性がこちらに居直す。
「突然ですみません。私はお母様とお付き合いさせて頂いている者でTと申します」
「今日は、お母様と結婚をさせていただきたくてこちらに参りました」

206 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 14:14:43.86 ID:76qXjsSGi
衝撃の新展開キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!

207 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 14:19:38.50 ID:6UK3llfl0
急いで書いているため誤字脱字が多いですね;どうかご容赦ください。
「おかあさん…いつから?」
「二年くらい前かな」
妹達は知っていたらしい。
私は全く知らなかった。私はここ数年間、殆ど家には居なかったから知るわけがないんだけど。
「もう>>1ちゃんにも私にも金銭面でも苦労はさせないって言ってくれたの、再婚だから慎重にいきたくて2年も待たせちゃった」
母が俯く。
「今までよくやってくれたね…」
ポツリと溢した。
母の口から初めて聞いた労いの言葉だった。

208 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 14:22:36.85 ID:EnJiLxNE0
あれ 何か脇から汗が

209 :名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 14:43:03.24 ID:a9v7YJLd0
>>208
部屋の温度下げろ

211 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 15:26:04.63 ID:6UK3llfl0
信じられなかった。
母の幸せそうな顔を見て、反対なんて出来ない。
「私が先に死んでも、あなたたちの世話をするってプロポーズしてくれたのよ」
もう私も大人だから母の決断に口出しはしない。
心残りがあるとしたら…
一瞥をくれると、妹達は目をキラキラさせて喜んでいた。
「おじちゃん、お父さんになるの?」
―きっと彼なら、幸せを与えてくれるだろう。
「よろしくお願いします」
頭を下げた。
家族に、父が加わった。
この日までを振り返り、漫画のようだと友達に話したら、「事実は小説よりも奇なりって本当だよね」と唸った。

212 : ◆bN5NHW/.U6 :2012/01/16(月) 15:47:21.41 ID:6UK3llfl0
お正月はA君とカナちゃんと近くの神社で初詣に行った。
年末、最後の授業で
「先生、初詣に行きませんか」
とA君に誘われたとき
「カナちゃんも一緒に行かない?」
と返しておいたのだ。
「せんせー!二人っきりじゃないなんて気が利かないじゃん!」
カナちゃんが拗ねたように口を尖らす。
「あ…!本当だ、ごめんね」
「ふふ、ウソウソ!先生に会えて嬉しいよー」
可笑しそうにカナちゃんが私の腕に絡む。
二人は受験の一年を迎える。
帰り際、カナちゃんはA君と同じ大学の違う学部を受けることにしたとこっそり耳打ちしてくれた。
まださぁくんには言わないでね、との言葉も添えて。


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  • 最終更新:2012-11-02 12:27:02

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